去年の私は一人だったのに、レシートにはケーキが二個ある。
衣替えで出したコートのポケットに、くしゃくしゃの紙が入っていた。
去年の十月十二日、二十二時十分。ショートケーキ、二個。
誰と食べたのか。あの夜、部屋には私しかいなかった。
思い出した。
あの日、私は上司に怒鳴られて、終電で泣いていた。
閉店間際のケーキ屋に、二個だけ残っていた。
一個は、今日も頑張った私に。
もう一個は、頑張れなかった私に。
そう言って、泣きながら両方食べた。
どちらの私も、責めなかった。
今年の私は、まだ大丈夫だ。
それでも冷蔵庫には、今年も二個ある。
来年の私も、きっと首をかしげる。
