臨時ニュースが流れても、この学校の誰も驚かない。
「先輩、僕のドラマが先に流れました。宇宙戦争のラジオ騒動みたいにしたかったのに」
「あれ、本当に慌てた人は少なかったらしいよ。盛ったのは新聞」
「じゃあ、信じた人は、ほとんどいなかったんですか」
「うん。人は同じ声に、何度も驚けないの」
「僕、機材に触ってもいません。放送室の鍵も、まだ閉まったままです」
「颯太《そうた》君、毎日十二時に流れるの。十年前から」
「誰がですか」
「さあ。毎日だから、みんな聞き流す」
窓の外で、校庭の土が円く焦げていた。
麻衣《まい》が小さく言う。
「今日のだけ、本物なのにね」
