犯人は、この中にいる。冷蔵庫のプリンを食べた犯人だ。
シェアハウスの居間に、私は三人を集めた。リン、ユウ、チグサ。テーブルには、私の名前を書いた空の容器。
朝から口の中が妙に甘い。でも今は推理だ。集中しなさい、ミナ。
「昨夜、台所に立った人は?」
「十時には寝た」とリン。「バイトだった」とユウ。チグサは黙って首を振る。
私は容器を指さした。
「スプーンは洗って、伏せてある。食べたあとで洗う几帳面な人。リン、あなたよ」
リンは首をかしげた。「洗って伏せるの、ミナの癖じゃなかった?」
「うるさい。それに夜中、台所に足音がした。私は聞いたの」
沈黙のあと、チグサがそっと自分の口の端を指した。
「ミナ。ここ、ついてるよ」
私は洗面所へ走った。
鏡の中の私の口元で、カラメルが光っていた。
犯人は、この中にいる。鏡の中に。
