三か月、誰もあの風呂敷包みを取りに来なかった。
「美智代《みちよ》さん、今日で保管期限ですね。」
「そうね。中身は現金一千万円。落とし主は、とうとう出なかった。」
「銀座の一億円と同じですね。」
「あれも、名乗り出ない人には理由があるって言われたわ。」
「じゃあ、拾った私が受け取れるんですか。」
「ええ。ことねさん、一度も手を付けなかったわね。」
「だって、人のお金ですから。」
「合格よ。実はあれ、私が置いたの。」
「えっ。」
「前の子は、三日で包みを開けたの。だから試したのよ。」
「ひどいです。……あの、棚の奥のも試験ですか。」
「棚の奥?」
「もう一つ、同じ風呂敷が。」
「……置いたのは、一つだけよ。」
