朝、僕のベッドに、紙で作った僕の頭が置いてあった。
スマホが鳴った。千尋からだ。
「おはよう。実家は静かでいいわ」
「千尋、寝室に僕の頭が置いてあるんだ」
「ああ、昨日の特集で見たでしょ。アルカトラズの脱獄。紙の頭を置いて、三人が消えたやつ」
「見たけど。なんで君が」
「私じゃないよ。三日前から実家だもの」
「じゃあ誰が作ったんだ」
「誠、昨夜はどこで寝たの?」
「リビングのソファ。寝室には入ってない」
「じゃあ、一昨日《おととい》の夜は?」
「……ソファ。三日とも、ソファだ」
「そう。点呼って、いないはずの人を数えるものよね」
「千尋、何が言いたい」
「ねえ、そのベッドの布団、今、動いてない?」
