娘は自分の誕生日に、私へ贈り物をくれる。
二十八歳になった今年も、小さな箱が届いた。中身はハンドクリーム。
箱の底には、毎年、一枚のメモが入っている。二十歳で家を出てから、八年間。読むのが照れくさくて、私は引き出しにしまってきた。
電話をかけて、言った。
「誕生日は、もらう日でしょう。逆よ」
「いいの。毎年、これがいちばんの楽しみだから」
「あなたが主役の日なのに」
娘は笑った。
「だって今日は、お母さんにとっても、大事な日でしょう」
私は何も言えなかった。
「メモ、まだ読んでないでしょ。読んだら、お母さん絶対すぐ電話してくるもん」
電話を切って、引き出しを開けた。八枚のメモが、全部同じ丸い字で、同じことを書いていた。
「お母さんになった日、おめでとう」
