取調室で手を合わせる男は、あまりに穏やかだった。三十日間の話を、聞く覚悟はあるだろうか。
雪の山で遭難し、ただ一人生き延びた男。取調室で出されたカツ丼に、男は静かに手を合わせる。若い刑事が三十日間のことを尋ねると、男はていねいに答え始める。約300字の、背筋が凍る心理ホラーの掌編。