父は、私のLINEに三秒で既読をつける。
真夜中に送っても、平日の昼に送っても、必ず三秒だ。
返事は「了解」か「気をつけて」だけで、気味が悪くなった私は、だんだん送らなくなった。
今年の正月、三年ぶりに実家へ帰った。
「ただいま」
「おう、寒かったろ。入れ」
父はスマホを、いつも充電器につないだまま持ち歩いていた。
夜、居間をのぞくと、父は座布団に倒れて眠っていた。
枕元で、スマホが充電器につながれたまま光っている。
開いていたのは、私とのトーク画面だった。
いちばん下は、先週の「帰るね」と、父の「了解」。
設定を見ると、自動ロックは「なし」になっていた。
父のスマホは三年間、私とのトーク画面のまま、一度も消えていなかった。
