何事もなかったように開いている蕎麦屋。裏口の傘立てには、毎週一本ずつ、誰のものでもない黒い傘が増えていく。
町の蕎麦屋の店主に立った悪い噂は、示談が済んだの一言で消えた。常連の「私」は変わらず木曜に通い続けるが、ある日、裏口の傘立ての傘が週ごとに増えていることに気づく。雨の降らない夏の日、店主は「忘れ物です」と笑う。約330文字の、静かな日常侵食ホラー。