春から始めた一人暮らし。鍵をかけた直後、決まって優しい声が背中に届く。うれしかった朝の声の意味を、最後の一行が変える。
春から角部屋で一人暮らしを始めた私は、顔も知らない隣のおばあさんに、毎朝「いってらっしゃい。今日は青いカーディガンね」と見送られる。母は「いいご近所さん」と笑い、私もうれしかった。お礼のお菓子を渡したくて大家さんに尋ねたとき、すべての意味が変わる。約390文字の、日常に潜む「意味が分かると怖い話」。