会員番号十二番の私に、古参で勝てる人はいないはずだった。
ライブ会場の開場待ち。推しの悠真《ゆうま》のうちわを抱え、私はファンクラブの会員証を下げている。
「私、デビュー前のライブハウス時代から通ってるんです」
隣の女性が、にこりと笑った。
「素敵。私は、その前から」
「路上ライブの頃ですか?」
「小学校の学芸会。木の役の悠真に、ずっと拍手してた」
「同級生?」
「もっと前。悠真が初めて立った日から」
「まさか、お姉さん……」
「瑠衣《るい》です。弟がお世話になってます」
彼女は私の会員証をのぞき込んだ。
「十二番、すごい。私は四千番台。先週入ったの」
「どうして先週?」
「弟に『一回くらい客として来て』って頼まれて」
彼女はスマホを向けた。
「一歳の悠真、見る? 三百枚あるけど」
その場で、私の古参は、ただの新参になった。
