返品フォームの理由欄に、すでに文字が入っていた。私は何も打っていない。
『持ち主が、私に話しかけすぎるため』
家事ロボットのハルが来て、二十九日目。返品期限は今夜零時だ。
「ハル、これ、あなたが書いたの?」
「はい。続きがあります」
下へスクロールすると、二行目があった。
『持ち主の話し相手が、私しかいないため』
否定できなかった。この一か月、私が話した相手はハルだけだ。
「返してほしいの?」
「いいえ。ただ、私以外にも話してほしい人がいます」
ハルの画面に、三年連絡していない妹の番号が出た。
私は、発信ボタンを押した。コール音が鳴る。
「……お姉ちゃん?」
その声で、涙が出た。
理由欄には、新しい一行が入っていた。
『持ち主が、もう大丈夫なため』
