壊された跡のない金庫が、空だと決まりかけていた。扉の内側で、叩く音だけが数えられていく。
貴重書庫の金庫は、扉も警報も無傷のまま「空」と判断された。事件性はなし。優しい声の司書は、悲しそうに行方不明の上司の話をする。けれど、本当に空だったのだろうか。暗闇で数えられていく音の先に、背筋が凍る真相がある。約400文字の、会話中心のホラー掌編。実際の事件をモチーフにしたフィクションです。