赤い火の夜 後編

ぼる

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ひいばあちゃんのお通夜の夜、私は赤い火の玉を見た。
その次の日は、告別式だった。
お坊さんがりんをチーンと鳴らして、みんなでお棺に花を入れた。ひいばあちゃんは、そのまま運ばれていった。
着いたのは、火葬場《かそうば》だった。
最後に、ひいばあちゃんの顔を見る。みんな、うなずいて、静かにお別れをしていた。
そこにも、火の玉がいた。
みんなは線香《せんこう》を持って、お棺のまわりをゆっくり回る。
その人たちの頭の上を、赤い火の玉が、一緒に歩いていた。
今度は、ママがそばにいた。私は、ママの腕にしがみついた。
「どうしたの?」
「火の玉が、いるの」
「寝ぼけてるんじゃないの」
ママは信じてくれなかった。
線香を立てると、「そろそろ焼きます」と声がかかった。
焼いているあいだ、みんなは控え室でご飯を食べていた。
そこはガラス張りで、目線を少し下げると、炉の中が見えた。
火がごうごうと燃えている。その上にも、火の玉がたくさん浮かんでいた。
「ママ、見て。火だよ」
でもママには、見えなかった。

「お骨上げの準備ができました」
みんなでお骨を拾っていく。そのとき、火の玉がひとつ、ふわりと動いた。
向かった先は、ひいばあちゃんの娘、私のばあちゃんだった。
火の玉は、ばあちゃんの胸のあたりに、すうっと入った。
絶対に入った。私は、はっきり見た。
それから間もなく、ばあちゃんは大腸《だいちょう》がんだとわかった。余命は半年《はんとし》と言われたのに、八年《はちねん》も生きた。
でも、私が中学二年生のとき、亡くなった。
次はお前だと、あの火は決めていたのかもしれない。
子どもの私は、気にもしなかった。今なら、つじつまが合う。
大人になって、ママにこの話をしたとき、私は決めた。
もしまた誰かの火葬場で、同じ火を見たら、その人に言う。「気をつけてね」と。
でも、火葬場まで行くほど近い人は、まだ、いない。

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